日本経済は、高度成長時代を経て、物質文化から精神文化が求められるようになった。物の豊かさと心の豊かさを持つことが、ひとつの理想になってきた。日本経済を見てみても戦後復興から高度成長時代を経て、「生活大国日本」からさらには「美しい国ニッポン」が叫ばれるようになった。
産業の発達を見るに、まず便利さを求め、その次に快適さや、精神文化の充実を求めるようになる。たとえば、エアコンの普及の例を見てみよう。戦後の貧しい時代には、どの家庭も冷を求めるのに用いられたのは団扇(うちわ)、風鈴、簾(すだれ)などであった。その後機械化が進み扇風機が出現した。その後より快適さが求められ、最近ではエアコンが当たり前になってきた。このようによりよい生活にはまず便利さが求められ、次に快適さが求められるようになる。冷暖房機器以外の家電製品も、まず、掃除機、洗濯機、電気釜など家事を楽にするものが普及し、その後に、快適なものと精神的満足をもてるものになってきているのである。
戦後の日本の経済の歩みを見る。国民は物の豊かさを求めて、大量生産時代に突入し、「それいけどんどん」で、どんどん豊かになっていった。工業化の発展につれて農村の崩壊が始まった。農村からの集団就職、出稼ぎ、都市化の進展と経済のサービス化がどんどん進んできた。現在、都市化率70%、人口は、首都圏、近畿、中京圏や地方の県庁所在地などの中核都市に集中してきた。
1980年代に入ると、昭和元禄を迎え、世界一の賃金大国になると同時に、脱工業化社会、経済のサービス化がさらに進んだ。現在日本の農業人口は、5-7%程度である。農業人口より、農協人口の方が多くなった。農村にも都市化の波が押し寄せ、生活の画一化や経済のサービス化が起こり、今や地方に行っても純粋な農村は殆ど見なくなった。
文化の概念を整理しておく。文化の概念は広いが、あえて分類すると、①生活文化、②伝統文化、③高度価値文化に分けられる。生活文化は住みよさ、生きがい、助け合いや生活様式である。伝統文化は、歴史的・民族的文化である。高度価値文化は、哲学・思想・宗教・倫理・学問・芸術などである。
生活文化の進展は、女性のファション、化粧に現れる。農家の主婦には化粧はいらなかった、ファッションも不要であった。まさに農村にも経済のサービス化が進み、化粧やファッションが普及した。TVをみても、化粧品、ファッションのコマーシャルが実に多くなったのに驚く。女性の地位の向上と意識の改革が起こったのである。
アフリカの貧困解決のためには、女性の意識改革が必要だという。いまその目的で、アフリカの女性たちに、カラフルな衣装を与え化粧を教えている。さて、その結果としてアフリカの農業はどうなるのか、結果を見てみたい。
近代文化の発展といえば、映像文化である。TVをはじめとし、漫画・コミック、音楽・ダンスなど、若者を中心に進んだ。TVの出現で、生活は退屈しなくなった。TVは、文化的生活の象徴になった。
1970年代には、企業文化(コーポレート・カルチャー)への関心が高まった。1980年代には経済同友会も企業文化の確立を推奨してきた。企業文化の捉え方には、二つある。企業の風土の文化と国民の生活様式、行動様式、価値観の変化を捉え、事業戦略に結びつける動きである。いま、文化時代の経営が求められている。トヨタよりも任天堂である。
文化は都市に生まれる。都市化とは、豊かさを享受し、貧困からの自由を求める場である。働きたいときに働く、これも自由である。自由労働を意味する「フリーター」なる言葉ができた。フリー・アルバイターの略である。働いて、失業保険をもらって、金がなくなったらまた働けばよい。芸能界を夢見てフリーターになる人もいる。株や為替で儲けたり、インターネット商売で稼いだりする手もある。小説家、タレントなどを夢みて、派遣を続ける若者もいる。青空テント生活、これも自由を求める都会化の一現象である。都市化が文化の始まりである。
次回、改めて茨城県に戻り、その文化水準を考察する
2009年5月
地域問題研究会主査 NAM記
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