アーカイブ: 3月 2009

2009/03/06

Permalink 10:36:58, 著者: NAM Email , 6 語, 242 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 4.1 - Senior Consultant

茨城県⑤ 茨城県の産業進展と商工業

 茨城県の産業は先に述べたように肥沃な関東ローム層におおわれており、第一次産業である農業が強い。県民所得、工業出荷額、道路舗装率、下水道普及率など、いずれも全国最下位クラスを続けたが、戦後、近代工業も進展し工業出荷額も増え、県民所得も広島、京都、宮城などを押さえ、全国ベスト10に迫るようになった。
工業の発達過程を眺めてみよう。茨城の伝統工業は、軽工業が多い。
1)農村工業
   A:養蚕・製糸工業、「結城紬」などの絹、羊毛、綿などの織物工業。
   B:製茶(猿島地方)、タバコ(久慈。那珂、東茨城)などの嗜好品、
寒天、こんにゃく製造、納豆製造(近代化した おはよう納豆)などの食品工業
2)伝統工芸
   C:醸造業(味噌、、醤油、石岡の酒)、
   D:家具・建具、桐製品、結城ダンスなどの木材・木製品加工、座敷箒
    *建築用木工製品
   E:漆器、陶磁器(「笠間焼」)、瓦などの窯業土石製品と手工芸、
    *硝子、コンクリート用品
 しかし、これらの伝統工芸などは、相対的に伸び悩み、むしろ衰退している。
 代わって戦後をリードしてきたのは、県北工業地帯(日立製作所)の電気機器産業、鹿島臨海工業地帯の重化学工業などの近代工業であった。日立製作所は、そもそも常盤炭鉱(嘉永/明治20年)、日立鉱山(精銅、明治38年)、などの一次産業から発展したものである。 
 高度成長時代に造成された石油コンビナート基地・鹿島臨海工業地帯は岩上知事の農工両全の思想のもとに取り組まれた。製品出荷額は、平成18年11兆5000億円で、全国でも上位に迫る。機械・化学・鉄鋼・電機などの重化学工業比率が70%を占める。
 1960年代に始まった県土開発により、茨城県の産業構造が大きく変わってきた。東海村に日本で始めての原子力施設を誘致し、日立、東海、鹿島の三拠点を核に、茨城の近代化が確立された。大企業のみならず、その周辺に中堅企業が発達した。
 岩上知事の後を受けた竹内知事は、1985年つくば科学万博を成功させ、つくば学園都市、筑波大や国立研究所など46機関を中心に都市整備が進み、茨城県にようやく日が当たった。おかげで茨城県の研究開発関連事業は充実してきた。納豆、微生物、きのこ、メロン、花卉等の農業・食品関係、ロケットなどの宇宙やロボット、ナノテク、など産業関係、マグネシウム、科学などの材料資源関係などである。
3次産業では、常陽銀行、カスミ・ストア、家電販売大手のケーズ電機などがある。県庁所在地の水戸は、人口30万以下で、分散県である。県南に人口が集中し、地元商店街が低迷し、大手資本のチェーン店が進出した。
商業は人口一人当たり約100万円であり、人口にほぼ比例する。茨城県は全国でも平均的と見られており、ファッションなどの流行のバロメータとして、岡山市、静岡市、水戸市があげられている。

2009年3月
地域問題研究会 NAM記

2009/03/03

Permalink 16:30:30, 著者: NAM Email , 1 語, 255 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 4.1 - Senior Consultant

茨城県④ 農業最先端つくば

 茨城県の県南は、業務中核都市に指定されている。つくば市は、つくば大学もあり政府系の研究機関が集約されている研究学園都市である。建築、経済産業省、宇宙研究などもあるが、特に農業関係の研究機関が多く、農業資源や新製品の管理のみならず、未来の農業に向けての研究が行われている。特に21世紀の食糧危機を救うのはバイオテクノロジーであると期待され、多くの研究機関で取り組まれている。最近では、光る蚕の研究から光る絹が開発され注目を浴びた。
 この中で筆者が注目したいのが、農村工学研究所である。現在の研究は農業土木が主体であるが、農村そのものは、社会科学であり、農村における独自の流通システムや通貨の研究、コミュニケーション、コミュニティの研究などが特におもしろい。アフリカの食糧危機は以前から叫ばれているが、その原因は政府の農業政策の失敗と目されている。農家へのばら撒き投資ではなく、農業への投資が必要だと言われている。日本も灌漑が進んでいなければ、アフリカ並みに砂漠になっているとさえ言われる。

つくば地区にある主な農業関連の機関を紹介する。
1.バイオマス研究所
  バイオマス:再生可能な、生物由来の有機性資源
   稲藁、牧草、サツマイモ、ジャガイモ、テンサイ、牛糞、生ごみ、間伐材など
  バイオガソリン:
   バイオマスを原料として作られる。ガソリンと同等のエネルギーを持つ。
   規格はまだガソリンと同じではない。将来同じになる。
2.種苗管理センター
   新品種の登録・保護
    ①栽培試験、②品種保護、③種苗検査、④原種の生産、⑤植物遺伝資源の保存
3.花卉研究所
    ①新品種、②開花時期調節、③品質解析
4.中央農業研究所
    ①水田輪作、②高品質水稲生産技術、③飼料用の低コスト品種の開発、
    ④高生産性水田の研究、⑤病害抵抗性研究、⑥六条麦の研究、
    ⑦大豆の研究、⑧環境保全農業、⑨農業気象災害研究、⑩鳥獣害対策
    ⑪農業経営、⑫ロボット農業 など
5.農業環境技術研究所
   大気環境、物質循環、土壌環境、農業環境のリスク評価
衛星画像で稲の栽培をみる。
6.農村工学研究所
   農業土木、村づくり研究、災害、水質管理
7.農業生物資源研究所
   遺伝子組み換え農作物、カイコの研究など
8.食品総合研究所
   食品機能研究、栄養機能、食品物性、食品安全、食品分析、
   食品機能素材(蛋白質、脂肪、糖質など)、微生物利用、酵素研究
   食品バイオテクノロジー研究など
9.生研センター:農業機械化研究所
10.国際農林水産センター:世界の食料・環境問題の解決を目指して
11.牧草地研究所
12.森林総合研究所

各機関で今後の農業の発展に有効な研究がなされているが、いくつかの問題点を指摘したい。
①主に自然科学系であるが、社会科学が入るとより有効かと思われる。農業の社会学的研究である。先の農村工学的な発想である。②各研究機関は遺伝子工学に関心を持つところが多いが、その交流、調整など総合的な調整・企画機能が弱い。③研究テーマに行政や国の要望をどう反映させるかが問題である。各県などの切実な問題からみると、必ずしも的確なテーマが取り上げられてはいない。今後とも農業の未来を担う技術に期待したい。

2009年3月
地域問題研究会 NAM記

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