アレクサンダー大王やナポレオンを引き合いに出すまでもなく、ヨーロッパは歴史上主に東方へ勢力を広げることで拡大してきた。21世紀の今、東方拡大は極めて平和的に、しかも東方の国々自らが望んで行われるようになった。
今年の始まりと同時、つまり2007年1月1日、ヨーロッパ連合EUは新たに2カ国の加盟国を迎えた。ルーマニアとブルガリアを加え、27カ国の大所帯となった欧州連合は、今後暫くのあいだ新規加盟については見合わせているが、10ヶ国が一度に追加加盟した2004年に続き、ますます東への広がりを見せている。
EU内では人の移動は基本的に自由である。EU人である限り、EU内のどこに住むのもどこで働くのも自由なのだ。その結果豊かな生活と賃金を求めて人々が移動するのは、極めて自然な流れと言えよう。つまり、EUが東へ拡大すればするほど、人の流れは逆に西へと向かう。実際、豊かな西ヨーロッパ諸国への、東ヨーロッパ諸国からの労働者の流入は、国内の雇用を圧迫するものだとドイツなどでは久しく問題にされているし、フランスでは安い農産物の流入で農家の収入が下がることへの抵抗運動がある等、東から西への流れは問題も多く孕んでいる。
しかし西へ向かう流れはヨーロッパ内に留まっていないのだ。
先月、正月休みを長めにいただいてドイツに旅行へ行ってきたのだが、現地のテレビでたまたま見たドキュメンタリー番組の内容が、なかなか興味深いものであった。ドイツのテレビ番組なのでもちろんドイツ目線でEU拡大のニュースが伝えられたあと、では新しい仲間となったルーマニアとブルガリアとはどんな国でしょう、という紹介があった。その流れの中ではあるが、ルーマニアの縫製工場の労働者として画面に映し出されたのは意外にも(親しみある)東アジア系の顔立ち。というのも、より良い労働条件を求めてルーマニアから西側ヨーロッパ諸国へ人々が流出した結果、ルーマニア国内では工場労働者が不足し、その穴を埋めるために中国から若い女性たちを呼び寄せて雇用しているというのである。工場経営者は、中国人たちは安い賃金で勤勉に働く、と、また中国人雇用者たちは、中国で同じ仕事をするよりたくさん稼げるので親に仕送りができる、と双方共に満足そうなインタビューが紹介された。
ルーマニアに限らず、ロシアでも中国人労働者は確実に増えているそうである。東欧から西欧へ、中国から東欧へ、東から西へと向かう人の流れは留まるところを知らない。外国で暮らすことは、言葉や食事など日常生活にいうまでもなく不便を強いる。にもかかわらず、豊かさを求め軽々と国境を越え、西へ西へと向かう人々。東欧とロシア・中国、旧共産圏の国々の経済発展は、西の向こう、これから先どこへ向かうのだろう。
by Muthase
(As a mark of my deepest respect for Mr. Albert A. Gore, Jr.)
アル・ゴア氏の講演会によせて。
1/20公開の映画「不都合な真実 An Inconvenient Truth」、もうご覧になられましたでしょうか。同題の本を既に読まれた方もいらっしゃるかと思います。http://www.futsugou.jp/
それらはアメリカ元副大統領のアル・ゴア氏による、地球環境に関する警鐘(同氏の温暖化啓蒙活動のドキュメンタリー)であり、全世界で大きな反響を呼んでいるようです。
今月の初めにご本人による講演会があったため、参加してまいりました。http://www.g-artists.com/event/index.html
講演会メモを前記事に掲載しましたので、詳細はそちらをご参照いただくとして、メッセージの主旨は下記のようでした。
「地球温暖化問題は待ったなしの状況であり、すでに様々な変化が世界中で起きている。一人ひとりがこの問題をMoral Issue(道義的責任)として認識し行動しよう。」
同氏は講演2時間のうち1時間以上を「温暖化による各地の異常現象」を延々と紹介しつづけました。(途中で「もう十分分かりました。。」と言いたくなるぐらい、延々と。)
最初は、「何故ここまで現状の紹介に時間を費やすのだろう?」と疑問に思ったのですが、恐らく本講演の目的は「危機感の醸成」だったのかもしれないと気づきました。
これまでも地球温暖化、チームマイナス6%、エコ、等々、耳にすることは多かったけれど、肌感覚ではありませんでした。
それが、ゴア氏ほどの方が、この問題解決を自分の人生のライフワークとし、世界各国でスライド講演を1000回以上行っているという事実、そしてその講演で一貫して現状を示し続ける、ということによって、本問題が私にリアリティーをもって迫ってきました。
同氏の講演・映画・本は、「危機感の欠如ほど恐ろしいものはないのだ。皆、この問題を知ってほしい。」、というメッセージを届けるために為されているのではないかと思います。
グローバル経済活動も、各国の発展も、文化も、社会も、宗教も、家族も、地球という土台がなくてはなにも成り立たちません。その土台を揺るがしているのは我々人類であり、特に日本もエネルギー大量消費国としてその責めを負います。
しかしながら、この土台を再生することも、人類しか成しえないのですね。特に日本が、その技術力の高さ、思考力の深さをもってして、本問題に真剣に取り組めば、きっと素晴らしい成果につながるのではないかと思います。
多くの企業がすでに「チームマイナス6%」に参加されており、大変素晴らしいことだと思います。しかしながら、さらに多くの企業が今すぐこのチームに参加することが肝要ですし、さらに各企業がより積極的なアクションをおこすことができれば、
必ず事態は好転すると思います。本問題は、企業活動の対極にあるものではなく、企業の基盤を揺るがす大問題と捉えるべきではないでしょうか。
「前人の植えた樹」ということわざがあります。
昔の人が樹を植えておいてくれたおかげで、後の世の人は木陰で涼むことができるという意味で、先代の善行のおかげで後の者が楽をできることに対して使われる。との意味です。
(http://www4.airnet.ne.jp/swata/swkoto_a.html#sa_line)
(http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/kotowaza3.htm)
英語の定訳はないようですが、訳すとすれば以下のようでしょうか。
Someone in the past had planted a tree,
so that now we can take a rest under its leafy shade.
天に向かってつばを吐き、孫たちの顔に戻ってくるということのないよう、長期的視野にたって、真剣に考え・行動していきたい問題です。
余談:
この講演会の後、友人と食事をしました。友人の行きつけの焼き鳥屋さんでしたが、そこの顔見知りのマスターが、私の持っていた講演会の入場IDを見て「僕も行ってきたんですよ!一緒の場所にいたのですね!」と声を掛けてくれました。30,000円という参加費を払っての参加、すこし躊躇しましたが、本当に得るものが多かったです。
余談その2:
チームマイナス6%は個人でも参加できます。私もチームの一員になりました。ネット経由でも参加できます。3分もかかりませんので、貴方も是非! http://www.team-6.jp/
By Candleholder
(As a mark of my deepest respect for Mr. Albert A. Gore, Jr.)
「不都合な真実 ~地球存亡の危機~ An Inconvenient Truth」
アル・ゴア氏による、地球温暖化に対する地球への警告、環境問題がテーマのスライド講演会メモ。
http://www.g-artists.com/event/index.html
*
ゴア氏のスピーチを聞き、自分なりのメモとしました。英語からの私的直訳のため日本語訳に語弊があるかもしれません。詳しい内容は映画・本を是非ご参照ください。http://www.futsugou.jp/ (なお映画・本の収益金はすべて環境保護の教育NPOに寄付されるとのこと。)
感想は次の記事に掲載。
【以下、講演メモ】
・地球温暖化は紛れも無い事実であり、我々に様々な影響を及ぼす大問題。様々な場所ですでにその現象が現れている。
例) 氷河の減少、洪水・干ばつ多発、熱帯感染症の広がり、異常気象・自然災害多発、等。 (数十枚の自ら撮影した各地のスライドを紹介しながら説明。)
・地球温暖化は明らかに人類が引き起こした。特に先進国。当然ながらアメリカが筆頭。日本もその責めを負う。
・地球の気候は「非直線システム」であり、変化は唐突にやってくる。その大変化の前に、この10年で大きなアクションをとらないと、人類は生き残れない。地球は何千年・何万年後かには再生できる。しかし、人類は滅亡するだろう。
・この問題は、「次の世代に何を残すのか。現代に生きる我々の同義的責任(Moral Issue)。」
・まだ手遅れではない。この10年以内であればリカバリーが可能。しかも我々がすでに持っている知識・技術で事態は改善できるのだ。オゾン層の破壊を食い止めたように、この問題も世界のコンセンサスがとれればきっと解決できるのだ。
・一人ひとりにできることは。
-この問題について知ること。
-市民として何ができるか、社会人として何ができるか考える。
-何かを消費するときにはEcoFriendly製品・会社を選び、意思のある消費者に。
・現状、政治的意思(Political Will)のコンセンサスが取れていないが、個人の意思が集まれば必ずやPolitical Willをも動かすような大きなムーブメントになる。
以上。
By Candleholder
新年あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。
FMICでは、年明け早々に社内合宿を1/8・9と行いました。昨年の総括・本年の展望を各自発表し、今年も良いスタートを切れたと思います。
そんな合宿の初日、私は休憩中に新聞をガサガサと漁っていました。普段は新聞は決まったページを速読するだけなのですが、成人の日と4月1日だけは絶対に全頁めくらなければいけないのです。なぜならば・・・。
新聞のどこかに、必ずサントリー株式会社さんの広告、伊集院静さんの「新成人・新社会人へのはなむけの言葉」が掲載されているからです!これはもはや一企業の広告という枠を超え、風物詩として話題になるほどで、毎年必ず拝見しています。
昨年の4月1日は
「仕事には慈愛があり、尊厳がある。それ以外を仕事とは言わない。」
といったメッセージ。
そして、今回のテーマは「青空」。抜粋だと雰囲気が全く伝わらず残念ですが、キーワードは下記のようです。
「・・・二十歳の空はどこにでも飛んでいける。信じるものにむかって飛び出そう。
・・・苦境から逃げるな。強い精神を培え。そこに人間の真価はある。」
(2007年1月8日 朝日新聞紙面 サントリー(株)様広告 伊集院静さんショートエッセイより)
成人式よりも厄年の方が気になる歳になり、さすがに飛んでいくことは難しいと思いますが、空に合わせて、
「ぽかぽか陽気をのんびり」でも、
「傘にレインブーツで必死の形相」でも
歩きつづけていこうと思ったしだいです。
あと3ヶ月もすれば、皆様の会社にも、成人式を終えられて数年の若い方々がいらっしゃることと思います。社会に先に出た者、歩き続けてきた者の責任として、彼らのきらきらとした眼に憧れとして映るぐらいになりたいですね!
http://www.suntory.co.jp/whisky/old/ad/ad01.html
http://www.vpr.co.jp/works/graphic/graphic03.html
(いつかこの広告シリーズが小冊子として発売されることを願いつつ。)
By Candleholder
先日オフィスで、“一念発起”氏の先輩の発言として紹介されたフレーズ。「歴史を学ばない者には未来は描けない。」だそうである。
今年の秋、多くの著名な歴史家が相次いで亡くなった。ヨーロッパ中世社会史の阿部謹也氏、フランス中世史の木村尚三郎氏、古代ローマ史の弓削達氏など、その研究成果を学会内部に死蔵させることなく、一般向けに分かりやすく紹介した功績は大きい。彼らはまた歴史分野に留まらず、社会に対して発信する、ものを言う学者たちでもあった。元フェリス女学院大学長の弓削氏は護憲論者として知られ(右翼団体に自宅を銃撃された事件が記憶にある方も多いだろう)、また元一橋大学長の阿部氏は、自身の専門分野の研究から思考を広げ、日本の「世間」論を導き出すに至った(これは差別問題などの議論に大きな影響を与えることとなった)。
この社会で起こるどんな成功も悲劇も、その成立過程と背景を見ないことには、更なる展望も繰り返さないための対策も編み出すことはできない。
以前アウシュビッツ収容所展を観に行った際、そこには先生たちに引率された小中学生も多くいたのだが、会場に置かれた感想ノートへの書き込みに違和感を覚えた。「ヒトラーはとても悪い人だと思いました。」「差別はいけないことなのでしてはいけないと思います。」等々。“間違った”感想ではないだろう。しかし、ヨーロッパにおけるユダヤ人差別は中世から続く数百年の歴史を持つ、非常に根深いものであるということや、世界が戦争に突き進むこととなった時代の背景を知ることなく、膨大な量の残酷な写真や遺物を目にするだけでは、繰り返すべきでない歴史も、「一人の悪い人の仕業」で終わってしまう危険があるのではないか。うわべだけではない歴史を見ることによって初めて、人は自分を、今を生きる当事者として客観視することができるのではないだろうか。
阿部氏に次の言葉がある。「歴史学とは、人間の尊厳を確かめてゆく学問の一つである。」
冒頭にご紹介した言葉と併せ、歴史学が決して、過去をほじくり返すだけの、後ろ向きで暗い学問ではないことを主張したい。偉大なる研究者の皆様のご冥福を祈りつつ。
by Muthase
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