政権交代後5か月になったが、期待ほどの成果が出ず、日本経済も国民の生活も混迷の色を深めつつある。そう言い切っていいかどうか不明だが、そう思われる昨今の状況である。
民主党政権になって、まず八ツ場ダムの問題から始まり、沖縄普天間基地の問題など、さまざまな問題が浮き彫りにされたが、いずれも解決の道筋は見えていない。すでに新聞等で議論し尽くされている感はあるが、改めていくつかの問題点を整理してみよう。
まず八ツ場ダムの問題から考えてみよう。住民の移転が始まり工事も着工されている中、いきなりのダム中止に住民は当惑している。そもそもこの川は水量も少なく水資源としては多くの期待は持てないようで、そこにダムを作ろうとした計画そのものに問題があったのではないだろうか。
当初予算の70%以上を使ってしまっているのに、工事はまだ半分もいっていないという。これが官の一般的なやり方なのだろうか。どうしてその責任を追及できないのか。この仕組みが直らないと税金の無駄遣いも直らない。
利根川の水利権の多くは、農林水産省が握っており、減反、減反で水需要が減っているにもかかわらず、その水利権を生活用水にまわそうとしない。その結果、利根川水域の埼玉県で渇水の危機が起きているのである。
そもそもこのような無駄と思われるダムが全国数十箇所もある。官僚の全国画一平等主義か、「私も私も」主義の結果、大量増設を招いている。地方の道路や地方空港も同様な構図である。このような官僚機構の矛盾点の上に無駄な公共事業を数十年も放っていた自民党に多くの問題がある。「ダムダムダムといい続け、結局無駄とわかったダム問題」と朝日新聞に揶揄されている。
マスコミはどうであったか、民主党になってやっとこれらの問題がクローズアップされてきたのである。マスコミはもっと自主的な調査力を発揮すべきで、マスコミの問題もおろそかにできない。民主党になってよかったことのひとつは、このようなナアナア公共投資が明らかになった点である。
民主党になって次によかったことは、事業仕分けである。国民の面前で事業の必要性などが明らかになった。先のダム問題もこのような議論にかけるべきテーマであり、ダムが治水にも利水にもほとんど効果を発揮してない例が、各地にある。
事業仕分けそのものの成果としてはせいぜい数千億円しか出なかったが、それはわかりきったことでもあった。他人の懐具合や事業の事情・問題は、外から見ていただけではわからない。それでも事業仕分けはよかったが、多くの不正問題は、内部告発によって明るみにでる。内部告発を容認しない国では難しい。無駄発見を奨励する施策がまず必要である。問題は、天下り各種法人にまつわる無駄使いをどこまで整理できるかである。これからがまさに正念場で、国民の多くが期待しているところである。
2010年1月
地方問題研究会主査 NAM記
謹賀新年、2010年のスタートはいかがでしたか。初詣、年始回り、名刺交換会などの新年の行事が続く中、七福神詣でもいいものです。
七福神は、室町時代に仏教の「七難七福」からうまれ、庶民に根付いたのは江戸時代だといわれている。日本(恵比寿)、インド(大黒天、毘沙門天、弁才天)、中国(福禄寿、布袋、寿老人)の神様の集まりで、宝船に乗り、庶民の味方の七人の神様がずらり勢ぞろいである。
東京では各所に七福神があり、浅草名所七福神をはじめ、隅田川、下谷、板橋、小石川、柴又、亀戸、銀座、日本橋、目黒、新宿山の手、港区など20箇所以上にもなる。茨城県の常陸七福神は車で回らねばならぬほど遠く離れているが、東京の七福神は近い。大体3時間程度で散策できるようになっている。
今年は江戸で最も古いといわれる谷中の七福神を巡った。山手線田端から西日暮里、日暮里、鶯谷、上野駅までの散策である。1月15日までは、ひとつのブームで、朝10時ころともなると田端駅前もごった返す。外国人のパーティも来ていた。お寺はそれほど大きくないが、皆さんをあたたかく迎えてくれる。
谷中地区は、関東大震災にも戦災にあわず、古い家並みが続く。谷中銀座では、名物のそばや、いまだに手焼きのせんべいを売っている。江戸文化の面影を随所に見せる谷中地区である。天王寺近辺には幸田露伴の五重塔跡がある。ちょっと行けば谷中の墓地で、徳川慶喜の墓や勝海舟の墓もある。森鴎外の邸宅も不忍池の近くにあり、下町資料館もあり、江戸から明治にかけての見所は多い。上野、谷中、浅草など、古きよき江戸・明治の面影を残す街めぐりであった。
地方の産業起こしとして観光産業があげられるが、この七福神も江戸時代の観光産業であったのだ。東京にもいま歴女が出没しているようで、寺、墓、著名人の邸宅跡などは観光スポットになる。地方ではこれに温泉や工芸工房、植物園、薬草園、朝市などを組み合わせ、独自のものを開発し、セットでアピールしてみてはどうだろうか。そういえば鴎外邸には温泉とレストランが併設されていた。また、谷中では銀座商店街が独自のイベントを開催していた。七福神も、地元のボランティアがガイドを担当していた。これらもみな地元の工夫のひとつである。
<参考>七福神とご利益
(東覚寺)福禄寿 :長寿、人望福徳、智慧
(青雲寺)恵比寿様:商売繁盛、大漁、恵比須顔
(修性院)布袋様 :幸福、忍耐と和合、家庭円満
(長安寺)寿老人 :健康長寿と安全
(天王寺)毘沙門天 :威光、苦難を乗り切る勇気
(護国院)大黒天 :勤労、有富蓄財
(弁天堂)弁財天 :愛嬌、学問、弁舌、芸道、琵琶を弾く豊穣の女神
2010年正月
地域問題研究会主査 NAM記
そもそも東京の魅力というタイトルでこのブログを書き出したのは、なぜ東京に一極集中をもたらしているか、という疑問からである。職業的魅力は間違いなくあるが、リタイヤしても東京を離れたくない人がいる。そんなに東京が魅力的なのか、という疑問である。それを尋ね歩き、考察してみたいと思った。
東京の魅力のひとつは、観光スポットが多いことである。いろいろなイベントも、常時開催されている。
まず、東京の観光スポットを見てみよう。人気観光スポット第一にあげられていたのは、意外と思われるかもしれないが国立科学博物館であった。第二位に東京ドーム、第三位以下は東京タワー、六本木、竹下通り、三軒茶屋と続く。大阪なら南と北と二つに代表されるが、東京の観光スポットの特徴は、多極構造である点である。これは世界的に見ても珍しく、巨大都市東京の奥の深さ、幅の広さを感じさせる。主な観光地区を上げると以下のようである。①上野、浅草地区、②新宿、渋谷、六本木地区、③池袋地区、④品川、目黒、自由が丘地区、⑤東京、日本橋、銀座、お台場地区など。各地区の魅力は別の機会に述べる。
るるぶという雑誌を見ても、「見る、食べる、遊ぶ」ことに事欠かない。まず、見るといえば、博物館、美術館の多いこと、しかも毎週のように企画展が開催されているのが魅力である。地方の美術館はすいていてよいが、採算がとれない。東京の博物館、美術館の企画展は、押すな押すなの盛況なのに比べ、地方では巨大なイベントホールや観光スポットを作っても顧客が集まりにくく、企画展示ができにくい。シーガイア、ハウステンボスが苦境にあえぎ、北海道の夕張も炭鉱から観光へとあがいたが、結局は巨大な赤字のみが残ったのと同様である。
東京の魅力については、演劇家如月小春が「都市の遊び方」という本で語っている。彼女は東京杉並に生まれたが、東京で喜び、東京で泣き、東京で遊んできた。その彼女の東京での遊び方、東京文化を語った本である。「東京は面白い。とても面白い。いつも新しい発見をさせてくれる。」とも語っている。エンタメでも、関西では小林一三の宝塚、東京では浅草のショーであるように、面白さは若干違う。過去の東京と現代の東京、それぞれの都市や地域の楽しみ方の違い、それがまた面白い。
コンサート・ライブ、映画の試写会もある。東京には大学が多く、各種公開講座が催されている。カルチャースクール、○○面白講座も開催されている。女性にとっては、各所のビューティスポットも豊富である。退屈しない東京である。
10月は運動会の季節であるが、各種イベントが開催される月でもあり、まさにイベントラッシュである。デパートも多く、毎週のように企画イベントがある。デパートめぐりだけでも飽きない。各地区で開催されるイベントも多い。たとえばショッピングだけでも10月には築地半値市、カッパ橋道具街まつり、神田古書市などがある。
11月になれば、大学の学園祭が目白押しである。学園祭はバザーもあるが、ショー、ライブも楽しめる。各専門分野の最新の研究成果の発表も知的好奇心をくすぐる。
イベントは、年間スケジュール化されている。東京国際展示場、東京国際フォーラム、電力間、ディズニーランドなどもインターネットで検索できる。上野動物公園でもマダガスカルの爬虫類展、国際ゴリラ年のイベントなど好きな人には、たまらない企画が多い。政治イベントもある。とまれ、東京の街歩きは興味が尽きない。東京の魅力はまだまだ続く。
2009年11月
FMIC地域問題研究会 NAM記
福島県の広さは岩手県に次いで第3位。東京、埼玉、神奈川、千葉をあわせたより広い。人口は減少気味。米の収穫量は、北海道、新潟、秋田に次ぎ第4位で、相当な実力を持つ。会津、郡山、福島の盆地が米の主な生産地である。野菜や果物の栽培も盛んな農業県である。桃2位、りんご、梨4位、柿3位で果実の生産も盛んである。福島県の7割は森林で、林業も岩手、長野についで第4位である。会津桐などの木材のほか、茸や山菜などが生産されている。 会津の桐は緻密で評判がいい。
漁業はいわき市周辺で盛んで、鰯、秋刀魚、鯖、鰹などが多く水揚げされる。
工業は郡山周辺地域を中心に高度技術産業の進展を図る。首都圏に近く、郡山、福島の仲通やいわき市を中心に、電気機器、化学工業、食品・飲料、飼料などの工業が進展した。県民所得も8兆円近くもあり、東北地区では、宮城県に次いで高い。浜通り地区は原子力発電所が集中し、電力供給基地になっている。
福島県の天気予報は、浜通り(相馬市からいわき市まで)、仲通り(福島、郡山、白川)、会津(会津盆地から西部山岳地帯)の三地域に分けられる。気候風土が違えば、人の気質も違う。一般的によく言われている気質の違いは次の通りである。浜通りは、言葉は荒っぽいが、人懐っこく親切である。さっぱりしておおらか、やや保守的で実力主義、会津は、おだやかだが、頑固で閉鎖的、我慢強い、付き合えば、人情が厚い。人間関係が親密で、家意識、郷土意識も強い。伝統的なものが全国でも最も強く残る。県全体としては①郷土意識が強い、②親密な人間関係、③権威を尊重する、④厳しい道徳観、⑤厚い宗教心、⑤教育熱心である。「地味で目立たぬが、ねばり強く、勤勉、忍耐、がんばり屋である」というのが、一般的見方のようだ。
郡山駅は、会津とは対照的である。駅前はビジネスホテル、消費者金融、パチンコ、飲食店、ショッピングビルなどが立ち並ぶ。極めて新興都市的で歴史を感じさせない街である。そして都会的であり、便利である。郡山はかっては水がなくて苦労した歴史がある。今泉村長などの村民の努力があり、猪苗代から安積疎水を引いたのである。
筆者が特に福島で注目しているのは、別荘、老人ホームである。寝たきりになったり、病院通いになったりすると、もっと首都圏の近くがよいが、元気なら自然豊富な福島がよい。田舎の雰囲気が大いに漂うのである。「ただ一面に立ち込めた、牧場の朝の霧の海♪♪」(岩瀬牧場)のイメージである。別荘はあまり遠いと、週末ごとに帰ったり、首都圏から通ったりには不便である。田沢湖、十和田湖なども景観はよいが、遠すぎるのである。別荘地も寂れている。福島は、猪苗代、磐梯高原、五色沼などは風光明媚で、伝統ある会津地区、新幹線の停車駅で便利な郡山、海と魚がおいしいいわき地区などお好みに合わせて選択できる。いずれも近くに温泉がある。土湯温泉、飯坂温泉、磐梯熱海温泉、猪苗代温泉、東山温泉、いわき湯本温泉など枚挙に暇がない。温泉があれば冬でも暖かい。
芸術家でも、定年帰農者でも、別荘に住む人でも、誰でもよい、人を招んで来られれば、産業は育つ。人がいないところには、産業は育たない。サービス業はまさに人口に比例する。只見で格安別荘地が売りに出ていたが、これなどもなかなか粋な戦略である。
2009年10月
地域問題研究会主査 NAM記
しばらくご無沙汰していました。ご無沙汰している期間中、総選挙があり政権交代の断が下った。鳩山内閣発足からちょうど一ヶ月が過ぎた。まあまあの滑り出しであった。国連での鳩山イニシアチブ、オバマ大統領との会談、韓国、中国首脳との会談など鳩山外交も順調に滑り出した。各大臣のユニークな発言も飛び出し、マスコミをにぎわしているが、問題が出てくるのもこれからだ。今回は、いままでのおさらいをして民主党の位置づけをまずしておこう。
小泉政権は、話も明快で国民をぐいぐい引きつけた。郵政民営化をはじめ、いくつかの改革も行ってきた。そもそも経済とは、「経国済民」の略で、国の経営と民の救済である。国の経営については、竹中平蔵大臣を起用し、経済的にはよくやったと思われる。ただし、当時アメリカでも主流であった新自由主義的経済で、規制緩和、WIN-WIN主義であった。
経済活性化のためには、この方法は極めて有効であった。規制緩和が進んでいないのは、農業と漁業である。既得権擁護のままである。だから今でも生産性が悪い。
小泉政権の弱点は、強いものにはよいが、弱いものいじめであった。そのいい例が派遣法の改正であった。リーマンショック後の派遣切りは自民党の弱いもの切捨ての思想が如実に出た。竹中さんは私は間違っていないと平然としているが、良心的な学者の中では「金融への縛りは必要だ」と金融工学の暴走を戒めるものもある。派遣法も、小生は悪くはないと思うが、あまりにも労働者擁護がなさ過ぎた。労働組合や民主党、社民党は一体何をしていたのか。この問題を明らかに指摘していたのは、共産党だけだった。
小泉政権の跡継ぎは、若き安倍内閣であり、「美しい国・日本」や教育改革など大いに期待されたが、農林大臣の汚職や不適切発言など不適格大臣の問題が次々と出てきて、悪ろき取り巻きのお友達大臣に足を引っ張られてしまった形になった。かわって安倍内閣の影にいた福田康夫内閣が誕生したが、実直さのゆえか、ねじれ国会がうまく切り回せず挫折した。ねじれ政権の舵取りや採決のやり方のルール化は、もう少し国会も国民も考えたほうがよい。そもそも自民党は早めに総選挙をすべきであったが、ずるずると引き延ばし、期限切れの総選挙で結局は惨敗した。そこには自民党の怠慢、小手先のずるさ、あくどさなどにあきれ返った国民がいた。
子育て支援は、自民党政権時代にも叫ばれてはいたが、一向に手を打たなかった。代わった民主党は民のための政策を打ち出したが、その財源はいったいどうなるのか。麻生さんも、選挙期間中盛んに財源問題を批判していたが、そもそも21世紀初頭の250兆円程度の国の借金を800兆円規模にしたのは、いったい誰なのか?歴代自民党政権も借金漬け内閣であった。最後の麻生さんも14兆円の補正予算もすべて国債である。さて、民主党の財源不足はどうする。
官僚主導と官僚の無駄遣い排除は行えるのか。これこそ難問である。問題の所在は分かっているが、ガードが厳しく、一筋縄ではいかない。この難問を解く鍵は官僚トップの人事権を政府が握ることである。これができれば政府主導がかなう。できなければ、また骨抜きであろう。八ッ場ダムの問題に見るごとく、50数年も国民を翻弄する官僚政権がある。この仕組みの解体はいったいできるのか。
民主党に政権が代わって一番よいことは、ダム問題や羽田のハブ空港化など、問題が明るみに出ることである。いままでなぜこういう議論が起きなかったのかである。次回以降、地方めぐりと同時に、時事問題にもコメントをしたい。
2009年10月
FMIC地域問題研究会 NAM記
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